235PS  「Touring」



2代目,KA7・8レジェンド。
その発表後,2年後に突如登場したのが,
「ツーリング」の名を持つモデルでした。
今回は,この「ツーリング」について掘り下げてみたいと思います。


2代目レジェンドが登場したのが1990年10月。
ところが,その2年も経たない1992年9月に,早くもマイナーチェンジが施行されました。

ここはやはり,まずホンダのファクトブックを御覧頂くのが早いと思いますが・・・・。

そのうえで,補足説明をこちらで入れてみたいと思います。


この「ツーリング」の最大のポイントは,そのエンジンにあります。
NSXにも使われた,ホンダV6エンジン「C型」。

もともと2代目レジェンドには3200ccの「C32A」として搭載されていましたが,
今回はそれに更に手を加えた「TYPE 供廛┘鵐献鵝じ世辰討澆譴
「C32A−供廖
「レジェンドツーリング」にのみ,与えられた特別な心臓・・・・・。


そのチューニング内容は,ファクトブックにもありますが,まとめるとこうなります。
吸気量の増大 ●インマニの形状見直し
●吸気バルブ大径化
●バルブタイミング変更
●バルブ動作量の拡大
排気量の増大 ●エキマニの形状見直し・径拡大
●排気抵抗低減
新技術導入 ●F1コンロッドメタル技術採用

これらにより,215PS/5,500rpm→235PS/6,300rpmを達成したそうです。


この出力向上は,いったいどのような意味を持っていたのでしょうか。

それぞれのエンジン曲線をもとに,下のようなトルク曲線表を作成してみました。
なお,これは1000rpmごとの数値をおおまかに調べたもので,
実物にはなかなか似てくれませんでした(笑)



この表を見る限り,それぞれの得意領域がハッキリしています。
もともとのエンジン(黄緑の線)は,2500rpmあたりまでトルクが太く,
「ツーリング」専用のエンジン(赤い線)は,3000rpm付近からトルクが盛り上がっています。
特に,アイドリング回転付近の1000rpmでは,大きく違っています。

この曲線に,更にNSX後期型のC32B(水色),
KA7/8の次のKA9レジェンドのC35A(黄色)
を,参考までに重ねてみました。


同じC型エンジンでもだいぶ違うことが目に付きますが,
ちょうどC32A兇蓮ぃ裡咤悗硲烹腺靴涼羇屬寮格を持っていることになります。
それは,パワフルという意味でも言えますし,
低速トルクの細さ,という意味でも言えると思います。
もっとも,個人的にはこれだけトルクがあれば充分という気もしますが・・・。
(参考までに,私が以前乗っていたGTOの3000NAは,1000rpmで22kgm,図のどれよりも低いトルクしか発生していないのです・・・)

では,なぜこのエンジンを投入したのでしょうか。
ここからは推測でしかないのですが・・・
「最新のコンロッドメタルを使ってみること」
これが,手段であり,目的であるような気がしてなりません。
そのうえで,「じゃあ,どうせやるならもっとパワー出そうぜ」
と,その他の部分にも手を加えた・・・・なんて考えすぎでしょうか(笑)


さて,その他の変更部分にも触れてみたいと思います。

操作感向上 ●スロットルリンケージ見直し
●フロントブレーキ2ポットキャリパー採用
●フロントブレーキディスク大型化
加速性能向上 ●ファイナルギヤ比ローギヤ化
 1時減速比 1.394 → 1.527
●3速ギヤ比ハイギヤ化
 0.973 →0.948
(3速時のトータルギヤ比は
 4.249 → 4.535)
グリップ向上 ●ショックアブソーバをハード仕様に
●サスペンションブッシュをハード仕様に
●215/55R16 タイヤ採用
●専用16インチアルミホイル
 (非常に大きさを強調した,ディッシュ型)
 
ボディ剛性向上 ●サイドフレームバー追加
●クロスメンバー厚板化
外観変更 ●専用フロントグリル
(確認できていませんが,このマイナーチェンジを期に
ほとんどのグレードは細身ながらもメッキグリルを採用しています。
ツーリングは,そのまま従来通りのメッキレスグリルを使っているようにも
思えます。このあたり,ぜひ確認したいところです)

どれも,加速性能,あるいは加速感につながるものだと思われます。

なお,なぜ3速だけ高速寄りにした点ですが・・・。
調べてみますと,低速寄りに設定したギヤ比でも,最高出力時の速度は
前モデルを若干上回るように設定してあることがわかりました。
KA7
5500rpm
KA7ツーリング
6300rpm
1速 62.5km/h 64.9km/h
2速 105.7km/h 109.8km/h
3速 158.0km/h 168.4km/h
4速 244.0km/h 253.3km/h

なお,3速ではともに国内では縁のないほどの速度域ですが(笑),
「ツーリング」では,時速168km。かなり速い・・・です。
おそらく,このエンジンの最高回転は,もう少し上のはずです。
そこで調べてみると,3速6700〜6800rpmで,時速180kmに達する計算になりました。

つまり,3速全開で,ギリギリスピードリミッターに達する,と考えられるのです。
前モデルのギヤ比のままだと,計算上では6300rpmに達するか達しないかのところで
スピードリミッターが作動してしまうのです。

まとめますと,全体的な低速寄りのギヤ比変更のなか,3速はあまり低速寄りにしませんでした。
そのため,2速と3速で引っ張ると,ほぼ時速180kmまでの範囲で回しきることができるように
なったと言えます。


補足ですが,このツーリング用に設定された低速寄りファイナルギヤは,
そのまま次期レジェンド,KA9に採用されています。
ただし,マイナーチェンジを期に,もっと「高速寄り」に変更されてしまいましたが・・・(笑)
KA9は,マイナーチェンジごとにギヤ比をこれでもかと変更している,不思議な側面があるのです。


その他の変更点として,
●メーターの針が白から赤に
 これは,インスパイア・ビガー・セイバーでも,25Sというスポーティモデルにのみ施された前歴があります。
 

●細身ガングリップシフトの採用
 

もともとは左のような,太めの縦型グリップシフトなのですが,「ツーリング」に限り,右のような細身のもの,
いわゆるガングリップシフトが与えられます。
正確には,レジェンドのクーペに使われているもののようです。

実は,この2種類のシフト形状は,初代レジェンドでも存在しました。
うろ覚えですが,初代でもセダンは左の太いシフト,クーペは右のような細身のガングリップシフトだったと思います。

また,右のガングリップですが,未確認ですがCB5インスパイア・ビガーのものと,きわめて形状が似ています。
ひょっとしたら・・・同じ,なんてことはないでしょうが・・・・。
ただ,CB5でもそうでしたが,パーキングに入れている状態ではオーディオ部分の操作が邪魔になりそうな気もします。



(9/29 vigor2000)
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